青森病院・治療内容
当院は主に保存的方法(食事、薬剤など)で治療できなくなった腎臓の働きが低下した患者さんの命を血液透析・腹膜透析(透析治療)と言う方法で長期にわたり助けることを目的にしている病院です。また青森市内で唯一腎・尿管結石を手術ではなく治療出来るESWL(体外衝撃波結石破砕装置)と言う装置を設置しており、尿路結石治療の中心的役割を果たしています。さらに前立腺肥大症の内視鏡を用いた経尿道的前立腺切除術を10年間で400例以上施行し良好な成績を残していましたが、平成24年にHoLEP(経尿道的前立腺核出術)や平成26年にPVP(前立腺レーザー蒸散術)と言う新らしい前立腺レーザー治療技術を青森市で初めて導入し、今まで手術出来なかった重い合併症を持った患者さんに安全な治療が行うことができ、良好な治療成績を収めています。
透析治療
当院では青森市内の透析施設の中核として患者さんの生活スタイルに合わせたオーダーメイドの透析を行っています。患者さんの状態に合わせて長時間透析、頻回透析も実施し、on-line HDF、夜間透析、腹膜透析も充実しています。またシャント作成困難な症例や、人工血管造設、シャント不全に対する治療に常時対応し、近隣の透析病院のシャントの問題にも対応しています。さらに全透析室でWi-Fiが使用可能となっています。
災害時停電に備え、自家発電装置や重油備蓄も万全の体制を整えています。地震、津波などの災害時透析困難になった患者さんの受け入れも可能です。東日本大震災時の停電でも、ほぼ通常通りの透析が行われていました。
入院ベッドは45床で、体調が崩された患者さんも直ぐ入院できる体制にあり、10対1看護体制で熟練した看護師による手厚い看護が行われています。また患者さんの生活向上の為のリハビリテー ション部門も充実していて、青森県立中央病院、青森市民病院などから地域連携パスにより脳血管障害術後や整形外科手術術後のリハビリテーションも行っています。さらに専門の管理栄養士による栄養指導を行い、患者さんの食事内容の向上にも努めています。
送迎バス
送迎バスを運行しております。どうぞご利用ください。
依頼透析
旅行や出張などで青森に来られた方のための依頼透析を受け付けております。また、当院の患者さんが、旅行先や出張先などで透析を受ける際のご案内もしております。
腎尿管結石の治療
腎尿管結石とは
腎臓から作られた尿は尿管(直径6~8mmの管)を通って輸送され膀胱から排尿されます。しかし尿にはさまざまな物質が含まれており、なかには結晶化して腎結石を形成することがあります。この結石が尿管に落ちて詰まると尿の流れが悪くなり水腎症という状態になります。この状態になると激しい腹痛、発 熱、血尿など多彩な症状を来たします。自然に排石されることもありますが、全く移動することなく重症化する例も有ります。以前は結石の治療はすべて開腹手術で行っていましたが、最近医療が著しく進化し、患者さんの身体的負担が少ない治療法が出現してきました。
治療法
当院は平成元年に青森県で初めて体外衝撃波結石破砕装(ESWL)を導入し、患者さんにメスを入れることなく結石の治療ができるようになり、患者さんに高い評価を得るようになりました。内視鏡設備も充実しており、細径尿管鏡や、軟性尿管鏡なども多種類備え、従来であれば治療困難であった結石の治療も成功させています。青森市内で唯一の尿路結石治療センターとして以後年間300例以上の尿路結石患者を治療しています。

体外衝撃波結石破砕術(ESWL)
衝撃波とは、例えばダイナマイトを爆発させたときに発生する波のことで、衝撃波によって建物や岩が破壊されます。恐ろしく感じられるかもしれませんが、実は衝撃波は石のように硬いものだけ破壊する性質があり人間の体のように軟らかいものにはほとんど影響はありません。治療では装置に横たわっているだけで す。装置から発生した衝撃波が体を素通りし、結石だけに命中して結石を粉々に破砕します。治療時間は1時間程度で、ほとんど日帰りで行われています。麻酔の必要もなく身体的負担はほとんどありません。粉々になった結石は尿と一緒に排石されます。1週間後に受診していただき、レントゲン写真で残石がなければ治療終了ですが、時に追加治療を行うこともあります。ただし結石が硬く、破砕されにくい場合や結石の大きさが1cm以上の時は内視鏡手術をお勧めします。 治療成功率は8割~9割です。
内視鏡治療

1.経尿道的尿管結石砕石術(TUL)
体外衝撃波結石破砕術で治療が困難であると思われた患者さんに勧めています。脊椎麻酔(下半身だけの麻酔です)を行った後、尿道から細い内視鏡(硬 性、軟性尿管鏡)を挿入して結石をレーザー(Ho-YAG Laser)で破砕し摘出します。年間150例以上施行しており、ほぼ100%成功しております。合併症もほとんど認めておりません。当院では1泊2日の入院で行っています。
2.経皮的腎砕石術(PNL)
腎結石は大きくなると治療期間が長くなり合併症の発生率が高くなる傾向があります。侵襲度の少ないESWLや経尿道的治療でも可能ですが、複数回以上の治療が必要で、患者さんへの侵襲が増えてしまいます。そのような例ではPNLという方法を単独又は併用して行います。背部から腎臓に向かい小さい瘻孔 (径1cm以下のトンネル)を作成し、そこから腎臓に内視鏡を挿入して結石を破砕した後一気に取り除きます。瘻孔作成時に出血する事も有りましたが、最近、軟性尿管鏡を使用し安全に出血なく瘻孔を作成できるようになり、時に経尿道的治療も同時に併用することで結石の除去率が高く、治療成績が格段に向上しております。当院では年間40例程度施行しています。入院期間は1週間から10日間程度です。
前立腺肥大症の治療
前立腺は男性にのみ存在し、膀胱の下部にある本来はクルミ程度の大きさの臓器で、その中央部分を尿道が通っています。精液の一部を作り、排尿機能に関係するとされますが、その役割ははっきり分かっていません。加齢とともに前立腺の内部の腺(内腺)が肥大して尿道を圧迫して狭くすることがあります。これを前立腺肥大症と言います。初期のころは頻尿、軽度の残尿感がありますが、薬を飲むことで症状が改善することが多いのです。しかし進行すると排尿時間が長くなり、残尿が発生し、全く尿が出なくなって(尿閉)腎不全になることもあります。以前は開腹手術で前立腺をすべて摘出していました。排尿障害は劇的に改善するのですが、出血など侵襲が大きく、全身麻酔で行うので心臓に病気のある患者さんには不向きでした。そのため最近は侵襲の少ない内視鏡手術が主流になっ ています。


1.経尿道的前立腺切除術(TUR-P)
内視鏡下に電気メスで前立腺を少しずつ切除する方法です。腰椎麻酔で行い、前立腺肥大症の治療として長い間中心的存在でした。しかし大きい前立腺では出血の危険、前立腺肥大組織の残存、再発の可能性もあります。入院期間は10日から2週間です。
2.経尿道的前立腺レーザー核出術(HoLEP)




前立腺の構造は内腺と外腺に分かれており、前立腺肥大症は内腺が肥大することで発生します。これはみかんに例えられており、みかんの皮が外腺で、みかんの実が内腺です。この治療はみかんの皮(外腺)から実(内腺)を剥がすように前立腺を剥離するので肥大した前立腺内腺をすべて摘出することができます。血管はみかんのスジのようによく見えるので出血のリスクも少なく、抗凝固剤を服用している患者さんや、高齢な患者さん、巨大な前立腺肥大症の患者さんでも安全に手術可能です。術後の回復も早く、手術終了後膀胱に尿の管を入れますが、より早く抜去でき、排尿痛も少なく早期に退院することが可能です。内腺をすべて除去できるという開腹手術の利点が生かされ、術後の創痛など欠点が克服された進化した治療法と言えます。術後の排尿状態はTUR-Pより良好であり、患者さんから高い評価を得ています。また、この治療により男性機能も回復したという報告もあります。一般に腰椎麻酔で行いますが、大きい前立腺では全身麻酔で行うことがあります。入院期間は5日から1週間です。平成24年に当院で導入された低侵襲な内視鏡治療で、青森市内では当院だけがこの治療を行っており、患者さんから高い評価を得ています。
3.経尿道的前立腺蒸散術(PVP)
平成26年東北では初めて当院に導入された前立腺レーザー内視鏡治療法で、現在全国的に広がりつつある治療です。これは、グリーンレーザーという特殊なレーザーで前立腺内腺を蒸散・蒸発させる方法です。出血がほとんどなく、心疾患など重篤な病気を持っている患者さんでもより安心して治療できます。TUR-Pと同等の効果で、しかも、安全性が飛躍的に保証されています。入院期間は3~5日ですが侵襲性が少ないので、日帰り手術も可能な術式です
透析医療の自主機能評価指標 評価指標項目(令和5年7月6日現在)
公開項目は、日本透析医会の透析医療の自主機能評価指標に基づきます
Ⅰ.施設の状況
1.施設の設備
①施設の種別 | 病院 |
②病床数 | 45床 |
③透析ベッド数 | 86台 |
2.施設の機能
①準夜透析の可否(21時以降終了) | 一部曜日可(月水金) |
②可の場合の透析室の終了時間(通常時の最終透析回収時間) | 22時 |
③オーバーナイト透析の可否 | 不可 |
④在宅血液透析の可否 | 不可 |
⑤オンラインHDFの可否 | 可 |
⑥シャント手術の可否 | 可 |
⑦PTAの可否 | 可 |
⑧障害者自立支援医療機関かどうか | 機関である |
⑨処方の区分(院内・院外) | 院内処方・一部院外処方 |
⑩腎代替療法実績加算の有無 | なし |
⑪下肢末梢動脈疾患指導管理加算の有無 | あり |
3.医療スタッフの状況
①透析に関わる医師数 | 常勤5人 |
②透析医学会会員の医師数 | 5人 |
③透析専門医の人数 | 3人 |
④透析技術認定士の数 | 3人 |
⑤透析に関わる看護師数 | 常勤39人 |
⑥慢性腎臓病療養指導看護師の人数 | 1人 |
⑦透析に関わる臨床工学技士数 | 常勤10人 |
⑧透析に関わるメディカルソーシャルワーカー数 | 常勤3人 |
⑨管理栄養士数 | 常勤2人 |
Ⅱ.患者の状況
①外来HD患者数 | 288人 |
②外来PD患者数 | 3人 |
③外来透析患者に対する後期高齢者患者の比率 | 78.1% |
Ⅲ.治療指標(外来HD患者対象)
①腎性貧血管理(Hb 10.0g/dl以上の比率) | 80.2% |
②P管理(P6.0mg/dl以下の比率) | 72.1% |
③PTH管理(iPTH240pg/ml以下、或いはwhole PTH150pg/ml以下の比率) | 96.1% |
④透析時間(4時間以上の患者の比率) | 76.0% |
⑤透析時間(5時間以上の患者の比率) | 1.7% |
⑥透析時間(6時間以上の患者の比率) | 0% |
⑦透析量(Kt/V1.2以上の比率) | 75.2% |
医療設備のご紹介
- 泌尿器用X線検診装置 UROSKOP Omnia
- CT装置 SOMATOM Perspective
- フルデジタルカラー超音波診断装置
- 体外衝撃波結石破砕装置 DELTAⅡ
- 泌尿器科内視鏡手術・検査設備
- 電子スコープ(腎盂尿管ビデオスコープ、膀胱ビデオスコープ)
- 硬性尿管鏡(6F・8F)、硬性腎盂膀胱鏡、切除鏡など
- 内視鏡による尿路結石破砕装置(リトクラストシステム・ホルミウムレーザー)
- 内視鏡による前立腺核出装置(ホルミウムレーザー・モーセレーター)
- 生化学自動分析装置 JCA - ZS050
- 多項目自動血球分析装置 XE - 5000
- 全自動血液凝固測定装置 CS 1600
- 多機能心電計 FCP 8321
- 全自動血液ガス分析装置 348EX
- 全自動化学発光酵素免疫分析装置 AIA - CL2400
- 全自動遺伝子解析装置 Smart Gene
National Clinical Database(NCD)の手術・治療情報データベース事業への参加
NCDについてのオプトアウト(院内の掲示・ホームページへの掲載) (2018-05-01 ・ 159KB) |